なぜ高級肉は高いのか?本当に美味しいお肉の見分け方5つのポイント
2018/12/09
なぜ牛肉は、同じ部位でもあれほど価格に差があるのでしょうか?
牛肉の質が違うのは分かりますが、具体的になぜそこまで高いのか分からない人も多いかと思います。
そこで今回は、「なぜ高級肉は高いのか?」という疑問にお答えします。
●高級肉が高い理由
以前の記事で紹介しましたように、国産の牛肉には、黒毛和牛、黒毛和牛と他種の交雑種、その他国産牛などが流通しています。
その中でも、最も高級とされるのは黒毛和牛です。
○種付け料が高い
黒毛和牛が高い理由はいろいろありますが、主な理由は種(精子)が高いことです。
黒毛和牛の血統は競走馬のように管理されており、ある種牛の子から高品質な牛肉がたくさん出ると、その種牛の種付け料は上がります。
また配合によっても肉の品質が変わるので、愛称の良い牛の交配が見つかると同じように種付け料が上がります。
牛は肉の等級によって、業社に卸すときの値段が大きく変わります。
当然のことながら、その元となる種牛の種付け料が大きく跳ね上がるのです。
○餌の値段が高い
値段が上がる理由の2つ目は、与える餌の違いです。
国産牛は牧草を与えて育てることもありますが、一般的には穀物肥育がよく行われています。
なぜなら、穀物を主とする飼料で育てたほうが、肉の質が良く、甘みのある脂を持つ美味しい肉になるからです。
穀物肥料もこだわれば際限なく良質なものを与えることもできますが、あまり高い餌を使うと利益が減ってしまうので、このあたりはバランスを考えて選んでいるところが多いです。
○手間がかかる
三番目の理由は肥育期間です。一般的に黒毛和牛の飼育期間は28~40ヶ月で、交雑種の場合は22~28ヶ月、ホルスタイン種去勢牛で18~20ヶ月です。
長い期間牛を育てるということは、当然ですが多くの餌と、その他管理費が多くかかってしまいます。
牛を育てる際の人件費も、育てる期間が長くなるほどかかるので、これも出荷時の料金に影響してくるのです。
●美味しいお肉の見分け方
せっかく値の張る牛肉を買うのですから、できるだけ美味しいものを選びたいですよね。
次に「美味しい牛肉」の見分け方をご紹介しましょう。
○美味しさを決める三大要素
まずは「美味しい」ということがどういうことなのかをご紹介します。
人が「美味しい」と感じる三大要素は「香り」と「食感」と「味」です。一つずつ見てみましょう。
1.香り
美味しい牛肉にはほのかな香りが漂っています。
これが舌や歯が感じる「食感」「味」とあいまって、なんとも言えない旨みが口の中に広がっていきます。
この香りが、牛肉が美味しいと感じる重要な要素の一つです。
2.食感
一般的に良い牛肉の基準は「柔らかい」ということが挙げられます。
ほとんどの日本人は牛肉 に「柔らかさ」を求めています。
これが牛肉以外ですと「噛みごたえがあって美味しい」とか「コリコリしていて美味しい」という意見もありますが、多くの日本人にとって牛肉は、「美味しい」=「柔らかい」です。
3.味
牛肉の美味しさを決定づける最も重要な要素といえば、もちろん「味」です。
しかし、意外なことに和牛と輸入牛の味を比べた場合、実はそれほど大きな違いはないとも言われています。
ある実験でも、目と鼻を塞いで牛肉を食べると、ほとんどの人は違いが分からなかったという結果が出ています。
実は人間の舌の味覚器官・味蕾で感じる「味」は、和牛も輸入牛もあまり変わらないのです。
さて、これらの要素をまとめると和牛の美味しさの秘密は「柔らかさ」と「香り」が大部分を占めているということになります。
その上で味が良いということが「美味しさ」を決定づけていると言えるでしょう。
それでは、牛肉の「柔らかさ」と「香り」を決定づけている重要な条件とは何でしょうか?
美味しさを決める肉の条件
それは牛肉全体に「良質な脂肪分が適度に含まれていること」です。
最近は輸入牛でも脂肪分の入った肉質のものもありますが、和牛とは脂肪の質が違います。
また、あまり脂肪分が乗りすぎていても、味がしつこくなったり後口が悪くなったりしてしまいます。
和牛の脂肪分(サシ)は約80℃に達した時点で溶け始めます。
実はこの脂肪分の中には「香り」の成分がたくさん含まれているのです。
良い香りの条件は、脂肪分が「良質」なことと「適度に全体に含まれている」ことです。
また、脂肪分が適度に含まれていると肉質も柔らかく食べやすくなるのです。
プロの業社は牛肉の「美味しさ」見分けるために、知識と経験を駆使して、牛の個体差や餌、肥育期間、処理方法、部位、熟成技術、鮮度など、多くの要素を考えたうえで判断しているのです。
●簡単な美味しいお肉の見分け方
ただしプロの業社でない限り、この判断を行うのは簡単ではありません。そこで最後に、簡単な「美味しい牛肉の見分け方」をお教えします!
売り場で並んでいるパックを自然光の前で同じ部位、同じスライス状に並べ、下の項目を比較してみましょう。
1.肉色の鮮やかさ
肉は明るい赤色、脂肪はくっきりした白色。さらに肉と脂肪の色のコントラストが明確に分かれているものを選びます。
2.肉表面の食感
傾けたときに肉の汁(ドリップ)が染み出ていたり、筋肉繊維が荒いものは避けたておきましょう。
冷えているのにベタベタした感じのものも要注意。なめらかな布のような表面を保っているものを選びます。
3.肉を持った時に感じる重み
水分が染みこんでしまった牛肉は重く、火を通すと固くなりがちです。
同じグラム数でも持ったときに軽く感じるものを選びましょう。たとえ赤身肉でも、脂肪分がまんべんなく含まれている牛肉は軽く感じます。
かなり大雑把な判断方法なので、必ずこのとおりだとは言えませんが、店頭で見分けるためのポイントになるかと思います。
お店で牛肉を買うときは参考にしてください。
美味しい牛肉を選べるようになるはずですよ。